FRP廃船の切断機(FRP CUTTER)

7年ほどり掛かりましたが、FRP廃船を粉塵の飛散や騒音を抑えて静穏に切断する試験機を造りました。H27年4月登録・特許第5720037号です。
両端が保持された長尺刃のレシプロソーです。(29年春にはNHKが取材してくれました。)

FRPは耐候性の素晴らしい素材です、切断機開発の最終目的は切断片の二次利用です。

  • 発想の段階から、自社の在庫廃船を少しずつ切断しながら、現在までに6~9mのFRP船を、14隻切断解体しました。
  • FRP船は空間容積が大きく、輪切り、横断して平板状に小切りすると1/7以下に減容できます。
  • あの船、何処に行った?と言う感じです。
  • 現場での自動切断をコンセプトに、ワイヤーロープ駆動の帯鋸刃による単純な往復動切断です。
  • 発想の初期はワイヤーソーでしたが、既成品に適正の大きさの刃がなく、帯鋸での切断機に成りました。
  • 破砕・擦切ではなく帯鋸刃による切断です。(ワイヤーソーも使えます。)

    FRP廃船の切断動画(メニューの動画をご覧ください)

  • 最大の特徴は 帯鋸刃での静穏な切断で、鋸屑が落下し、FRP粉塵の空中飛散がないことです。
  • 切断中の工場内で弁当が食べられます。
  • 帯鋸刃(あさり部)が摩耗しない限り真っ直ぐに切れます。
  • 切断刃は切断する物に応じて簡単に交換できます。

メニューの動画は初期型からインバーター導入までの動画です

  • 切断刃は特注品、及び、各種既成の帯鋸刃(ハイス鋼)でテストしています。
  • 動画前半の装置動力は400W、単相100V、往復回数35回/min固定のギヤードモーターです。
  • 御神酒を上げて、19Feetの和船、24Feetのプレジャー船、27Feetのシャフト漁船を切断解体しました。

後半の動画はインバーター制御です

  • 現在の動力は750W(1馬力)、インバーター制御の3相200Vのギヤードモーターです。回転制御しながら切断刃の選定と機能確認・改良のために小切しています。
  • この試験機では、厚さが平均15mmのFRP単坂(船底)を常温で1分間に25cmほどの速度で切断します。
  • この切断速度計測時の往復回数は90回/min、ストローク28cm、動力電流2.3Aほどで余裕があります。
  • FRP廃船の横断時は縦通材など内部構造物に時間を取られます、往復回数や刃圧を上げれば早くなります。
  • また、FRPを90℃に加温すると、常温時の5倍の速度で切断したデータがありますが、廃船の加温が課題です。
  • 大型のFRP船も装置を大きくすると切断が可能と思います。(試験機では最大27Feetの漁船まで。)

    切断機の機能

帯鋸をワイヤーロープで往復駆動させる遠隔切断機です、切断刃を換えると鋼材・石材・木材などが切れます。
刃圧(切断方向の抗力)を一定に、レールに沿って切断刃が動いてゆきます。(門型の切断機です。)

  • 右の画像が切断機の機能イメージです。
    切断機のイメージ
    単純な装置ですが、文章にすると判り難くなります。
  • 廃船の切断個所の両側に、切断方向に沿って架け渡された2本のレールと、このレールに転支された保持器の間にワイヤーロープで連結された帯鋸刃に往復動力と一定張力をかけます。
  • 同時に、帯鋸刃にかけた張力に対向するように、保持器を介して逆方向の一定張力をかけます。
  • この両張力のバランス調整により、切断刃にかけた張力・切込方向の刃圧・切断刃の相対位置が常時一定に保たれ、自動切断されます。(現在は張力と刃圧を・スプリングとトルクウインチとを使っています。)
  • 切断する機能が今までの切断機と全く異なります。(帯鋸刃で水中切断も可能です。)
  • 動力は750W程度です、廃船1隻に4mほどの、帯鋸刃(ハイス)1本が必要です。
  • 試験機では23Feetディーゼル和船巾1.7mの横断に、機関室部が20分、イケス部が9分程かかりました。
  • 製品としてはまだまだ課題と改善点があると思いますが、切断実践しながら改良してゆきます。

マリーナか地場のFRP造船事業所で、FRP廃船の切断解体処理を考えておられるの方に実際に使ってみて頂きたいと思っています。ご意見、問合せをお待ちしています。
お近くの方は、試験機ですが、切断状況をお見せできます、事前にご連絡下さい。

長崎市です、℡095-839-3334 >>>メール✉

令和2年11月 切断実証試験(長崎市の実験許可を得て)

友人が所有責任のある沈没漁船、長さ12m巾2.2mを軽トラックで運搬可能な長さに、現場で切断して見ました。
12日13時40分横断開始し14日12時30分、2m以下に輪切にして7分割完了・15日~16日で小切し軽トラックで運搬可能に解体しました。(この切断実験で様々な事象や課題が見つかりました。)  トップに動画掲載

  • 小切りに要する切断工数が多い。
  • 切断台の改良が必要です。
  • 切断解体により容積の縮減が大きく軽トラック4回で全ての切断片を現場から搬送できました。
  • 船の所有責任者(友人)の軽トラックで弊社に設置された4㎥産廃BOXに余裕を持って収容しました(1㎥4,000円×4+収集運搬費12,000円=28,000円+消費税)。
  • 鋸刃は市販の帯鋸刃4mほどを2巻き(12,000円+消費税)を消耗しました。
  • この切断解体に要した消費電力は7.87Kwh・(100v・20A・現場設置の電力計)、料金は200円弱で驚くほど少エネでした。(当切断機・セイバーソー・丸鋸の消費電力)

中間処理業の資格を得て、事業としての実践経験から、切断機の利便性を追求してみたいと思っています。(しかし、リサイクルを考えているため、廃掃法上の立位置が不明瞭です。)

現在、FRP船の切断に特化しています。が、地中配管の工事(インフラ整備)現場でエンジンカッターが危険なため使用禁止なった地域から、この機能を埋設管の切断に使えないか?問合せがあります。

  • 内径150mm厚さ7mmほどのGX形ダクタイル鋳鉄管を切断して見ました。
  • 刃圧を上げると試験機で6分台で切断できます、切断機をコの字形・小型に創ると使えるかもしれません。
  • バンドソーでの、この遠隔切断機能は人の近ずけない場所での鋼材切断にも使えると思いますが、先ずは難題の長大なFRP廃船の切断機を完成させたいと思っています。
  • 職人の一人善がりの部分もあると思います、試験機・実証機を見て戴いてアドバイス・ご協力頂ければ幸いです。

    この切断機の設置は、地場のFRP造船所等が最的です。

利点

  • 設備が整っている。(上架船台・天井クレーン)
  • 船体構造が熟知されている。
  • リュースの可・不可の判断が可能です。
  • 付属機器の二次利用が可能です。
  • 二次接着技術によりFRP切断片のリサイクル製品化が可能です。
  • 切断機は門型で設置には広い空間容積は不要です。
  • 仕事の合間にマイペースで切断作業が出来ます(この間は1隻分の作業船台が必要)。

課題

  • 切断処理の採算。切断機もシンプル・安価でなければなりません。
  • 廃掃法(通称)における切断処理事業の立ち位置が判り難い。
  • 不要なFRP切断片の新しいリサイクルシステムが必要です。(産廃BOXを設置すると1㎥4,000円で処理できるそうです。)
  • 200万円~300万円の設備投資を要します。

全国で、放置艇を含めると年間4万隻ほどの廃船処理が必要な計算にります、課題が解決されないと廃船処理が進みません。

また、FRP廃船処理が事業として成り立つことが必要条件と思います。

切断装置の機能・被切断物の大きさ・価格設定等、下記TEL・>>>メール✉にて、ご質問・ご意見、頂ければ幸いです。
                 令和3年4月


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TEL・FAX 095-839-3334

有限会社矢上船舶機器サービス  代表 林田俊作

長崎市田中町860

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