FRPの熱による軟化

自分で創ったFRP船を粗大ごみにはしたくない、という気持ちからFRPのリサイクルを研究しています。
そんな中、熱分解の実験過程でリサイクルに最適なFRPの温度特性に廻り合いました。

FRPが100℃で軟化します。

自分で丹念に脱泡積層した舶用FRPテスト片では100℃ほどに加温するとねじり破断トルク(材力)が常温時の1/7以下に低下します。

  ねじりトルク計    画像をクリック下さい拡大します
トルク計 ねじりトルク

グラフはガラス繊維(M450×5)を舶用樹脂(日立ポリセットNR2907PT-S)で積層硬化させ、6ヶ月ほど放置したFRPテスト片を同一幅に切りそろえて作成。

FRP部をお湯に浸け各温度(20℃・60℃・70℃・80℃・90℃・100℃)に対するねじり角度とトルクを示したものです。グラフの最後尾は破断破損時のトルクです。

20℃では約4Nm100℃では約0.55Nmで破断破損。1/7以下のトルクで破断破損しました。

圧痕 圧痕の拡大

この画像は、クリック下さい拡大します
様々なFRPテスト片に100℃と常温で鋼球を一定圧力で押し付けた圧痕です、チーク材とベニヤ板もあります、この木材は常温時の圧痕です。

FRPが100℃で木材程度に軟化します。
 

舶用FRPの軟化

  1. 舶用FRPは、温度を100℃ほどに加温すると、ねじり破断トルクが7分の1程に低下します。
  2. 加温すると、ねじり破損時に音がほとんど聞こえません。
  3. 加温すると、ねじり破損時に粉塵がほとんど飛びません。
  4. 上記添付写真、廃船より切り出したFRP片を加温(100℃)して一定の力で鋼球を押し付けると、チーク材板程度に軟化している事実を確認しました。
  5. 舶用(不飽和ポリエステル)樹脂のフルキュア状態でのガラス転移温度は約80℃だそうです。
  6. 廃FRP船片のビガット軟化温度は147℃でした。
    (70℃より軟化が始まっています。依頼試験(県)により)

「熱硬化性樹脂は熱により軟化するものではない」との通説は誤解と考えられます!

  1. FRPの熱による軟化は、上記FRP軟化の事実や熱硬化性樹脂製品(エポキシ・フェノール樹脂を含めた商品)には、物性値(メーカーデータ)としてガラス転移温度(Tg:高分子鎖の熱運動による軟化を始める温度)が存在します。
  2. Tgの存在から、架橋硬化した熱硬化性樹脂も種類によって程度の差はあれ、熱(温度)により軟化することになります。

熱硬化性樹脂は、

  1. 『熱により軟化する、溶融はしない』
  2. 『熱により三次元網目構造の不溶不融のものに変化する』
  3. 『熱により流動化するものではない』
    等が、正しい特性(説)表現だと思っています。

舶用FRPは架橋手が長のか、架橋密度が低いのか解かりませんが100℃ほどで大きく軟化します。

以上はFRP廃船処理に便利な特性と思います。

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